二度とない事例は忘れたほうがいい。

クライアントの企画で「ケーススタディ」を実施する。

クライアント担当者がこれまでに対応した事例で印象に残るものをピックアップして紹介し、それに対しあーだこーだみんなで討論するみたいな感じ。エージェントもかなりの数を集めてそれなりに力を入れてやろうとしている。

とりあげられた事例の詳細はクライアントの情報に直結するのでふれないが、この手のことをして失敗するパターンにはまってる。

  • 「興味深い事例」というものは概して二度とない事例。それを単独で分析してもその対応を次の対応に生かすことはできない。表向きは違うように見えても似たような失敗をしているケースを捕らえ、そこを修正するといった明確な目的があればいいのだが。
  • ケースを提出する側が、その問題のどこに学ぶべきなのか論点をまとめない。だから、その個別の対応について結果論でこうすればよかったとまとまらない意見が散発するだけ。今回に関していえばなぜそのケースを取り上げたのかという目的すら曖昧に過ぎる。

それでは飲み会でやる自慢話と変わらない。聞いて何が変わるかは聞く側それぞれの資質に依存してしまう。この会をすることによる効果が予測できない。

せめてその事例を取り上げることの意味を明確にする必要があった。対応時間が極端に長かったのが問題なのか、判断誤りがあったのが問題なのか、顧客からクレームがあがったことが問題なのか。とりあげた事例から何を学ぶかを明確にしないから意見が散発するだけになる。結論を出すには何について論じるのか決めておかなければいけない。そうして出た結論なら全体で共有できる。解決策まで導き出せば全体の行動を変えることができるだろうし、解決策を実施後に何が変わったのかについて効果も測定しやすくなるはずだ。