博士の愛した数式

博士の愛した数式 (新潮文庫)

博士の愛した数式 (新潮文庫)

子供のころの楽しみに一人で電卓をいじってるというのがあって、たとえばスーパーで母親がもらったレシートを使って合計が合うことを確かめたり、どんな数字でもルートを押し続けると0になるのが楽しかったり。自宅にあったのはオーソドックスな8桁の液晶電卓だったけど、祖父の家に行くと12桁の古い電卓があって兆の次の桁は京だなんて話を聞きながら「ふーん」とか唸ってたりした。

そうやって数字に慣れると自然と算数は好きになるわけで、小学校の頃は一番好きな教科だった。そういえば小学一年生で初めての算数の授業でいの一番に計算問題を解いて手を挙げた時のクラスメートからの視線はあれは忘れられない思い出で、一緒の幼稚園に行ったクラスメートがいない中で自分自身の位置をクラスの中に確立した瞬間だったと思う。

ただ、数に比べると図形が苦手でこれが不登校やったときに一番響く。一応高校受験しようと担任の先生との話になって勉強はしてみるのだけど補助線をひくコツが全然わからない。そのときに「あー、毎日訓練しないとダメになるね」と実感した。

それに野球の話、あの年のタイガースは面白かった。亀山・新庄が頭角を現した時だけど、オマリー・パチョレックの4番・5番の勝負強さとその年だけ神だった仲田幸司とか。そこであの幻のホームランとルートの誕生日を結びつけられると、誕生会の絵がより鮮明に浮かび上がる。

ルートの設定は僕より3つぐらい若いのだけど、こんな感じで懐かしさを感じさせる一冊だったのです。