恋するプログラム—Rubyでつくる人工無脳

恋するプログラム―Rubyでつくる人工無脳

人工無脳のプログラムに対する興味で買ってみた。

3章の途中まで読んだ感想だけど、これはプログラムを知らない人にプログラムってこんなもんです、っていうことを示すにはいい本だなあ、ということ。

ものごとを学ぶときには最初に「自分にできる」っていう感覚を覚えることが必要で、それがつかめないと自分の学びの方法が正しいのか確認ができなくてモチベーションの低下に繋がってしまう。

過去に読んだプログラム入門本のほとんどは、基本的な文法から演算子そして条件分岐とすすんでいくのだけれどそれが実際のアプリケーションにどうつながるのかはあまり密接ではなくて、それらの文法を覚えた後は最終的にプログラムのコツはサンプルソースを見ることに落ち着くことになる。これって結構敷居が高いと思う。

じゃぁ、まずは動かしてみようという本は確かにみたことはあるけれど、やっぱり文法的なことをしっかり説明しようとするがゆえに、細かい説明が多くなって冗長な記述になっているものがほとんど。

この本のいいところは、その場では必要最低限の知識しか記していないので、余計なことにあまり引っかからずに読み進めていけることだと思う。たとえば、2章で変数の説明にあたって、変数のスコープに関することが章末で別枠のコラムにあっさり記されているところあたりがそれにあたる。

これ一冊でRubyのすべてがわかるわけではもちろんないのだけれど、とりあえずプログラムを動かしてみたいという入門者のためにもいいし、プログラムってこんなもんなんですということを他人に示す教本として使うのにもいいんじゃないかと思う。

ところでAmazonの評価コメントを知ったのだけれど著者は急逝されたとのこと。いい本をたくさん書けそうな人だけに残念。

(追記)作者、秋山智俊はこの原稿をほぼ書き上げた翌日の2月18日の朝、永眠しました。その後、バトンを受けて、なんとか形にしました。彼が喜んでくれていると良いなと思います。このあたりのことについては、また機会があれば……。