人的資源まで自転車操業、というか人的負債をたくさん抱える現場環境。

架空の求人にご注意を−−。東京労働局(奥田久美局長)管轄のハローワークで、派遣や請負事業者から実際の求人がないにもかかわらず、仕事があるように書いた“偽装求人”が相次いでいる。背景には、派遣、請負労働者への需要が高まり、人手不足の状況が生まれていることがある。こうした業者が登録する労働者を囲い込もうとして、架空の求人で人集めをしているといい、同局は求人内容の審査を厳格にすることを決めた。

今に始まったことでもないだろうが。実際にうちの会社の求人事情を聞けば求人広告の書き方一つで応募者数が全然変わってくる*1と言うのだから、「とりあえず人を集めて派遣しとけ」と仕事をしてる人材派遣会社*2にあっては、そうであっても驚かない話。

人的資源が不足したときに確実に人を確保するには一言言えばあっというまに用意してくれる人材派遣が手っ取り早いという派遣先の需要があって、そうやってでも人を確保してくれる派遣会社はありがたいのだろうけれど、とりあえずで人を集めるような不誠実な対応で採用された人間が派遣元および派遣先に対して熱心に思ってくれるはずはなく、平均的な派遣社員のパフォーマンス*3で落ち着いていく。

働きの悪い人間を管理するのはコストがかかる。現場管理者はその人的資源の管理に追われるようになり業務効率化などにリソースを割当てられなくなる。そこで業務が拡大すればさらに派遣で人を雇い入れるが派遣会社側のやってることは変わらないから、また管理コストがかかるだけの人的資源が集まる。

これって、人的資源を資産としてとらえると、どんどん負債、それも有利子負債をため込んでてそれを埋めるためにまた負債を増やしてる感じ。自転車操業だと思う。

たとえとしてあまりよろしくないが、人的資源に関しては株と似たようなものだと思ってて、10倍に膨れあがるような銘柄にそうそうあたるようなことはないし闇雲に銘柄を選んだところで成果が見込めるわけでもない。

問題は銘柄選別に近いところをどうするか。網をばっと広げて人を集めるのは日経平均があがってるのでなんでもいいから株を買っておけ、って感じ。*4

いい人材なんてのは皆大企業にいっちゃうのは当たり前なんだから、人が集まらないなんてのは当然の話。その中でどうやって資産として扱える人を選別するかということ。そしてそれをするためには可能な限り人のいらない業務の運用を考えるのが管理者の仕事になりそうだ。

先に人を増やすと管理者側は業務効率化ができなくなるのであれば、人を増やす前に業務効率化をしとけ、それができなきゃ人的負債が積もってにっちもさっちもいかなくなるというか、なってるところばっかりじゃないの、っていうのが僕の考え。

*1:悪ければ応募者0だってありえる。

*2:まあ、すべてとは言わんが僕が今の会社に入ることになった派遣会社はそんなものだったよ。

*3:つまりは大して使えないよって話。

*4:実際には人材派遣会社がインデックスファンドのように平均的なパフォーマンスを出してくれればいいんだけど、どこも失敗しているアクティブファンドみたいなんだよな。