コールセンターと業務委託・派遣社員

業務委託とか派遣社員をどう使ってセンタの人的リソースが構成されているかを簡単に。

自社でコールセンターを持って自社で雇用まで行う

フロアスペース・電話回線から情報システムなどの設備を自前で用意し*1、センタ管理者*2・SV・オペレータまで自社が直接雇用するケース。

このケースのセンタを見聞したことはないので想像でしかないが、SV・オペレータだと契約社員・アルバイトという雇用形態になっているだろうと想像する。

数十席クラスの中規模センターになれば、ほとんどこういうセンターはないのでは思われ。

すべてを自前で管理できるのが何よりのメリットだけどコスト面で負担が大きい。給与だとか年金だとか保険だとか健康診断だとかの労務管理を数十人から百人を超える分までしなきゃいけないコストが特にバカにならない。

自社でコールセンターを持って雇用は派遣社員中心

設備は自社で用意するけど、オペレータ、ケースによってはSVまで派遣社員を中心にして人的リソースにかかるコストを抑えようとするケース。すべて派遣社員というセンタ以外にも契約社員・アルバイトが混在している場合もある。

年金電話相談センターにおいてはこのパターンが多そう。

派遣社員の派遣元はパソナのような人材派遣会社の場合もあれば、主にコールセンターの業務委託を商売にしているような会社からということもある。

設備から人員まですべて業務委託

設備から人員まで外部業者に委託してしまうケース。茨城・広島の年金電話相談センターとか、ねんきんあんしんダイヤルが外部委託で増席と言っているのはこのパターン。

委託された会社はセンター設備を用意しておりそこに人員も割り当てる。委託元のメリットは設備を自社で用意しなくてよいことと委託先のコールセンター運営ノウハウをそのまま利用できること。

委託する側はコールセンターの業務内容を定義して、業務仕様書なり契約書なりにまとめて委託先へ提示する。それに基づいて委託元のセンタ管理者が各スタッフを管理する。運用開始後は定例で委託元と委託先で報告書などのやり取りをしながらセンタをブラッシュアップしていく。

委託先の各スタッフへ直接の業務指示はできないので、コールセンターを全体指標でしか管理できないことに歯がゆい思いをする会社はやめた方がいい。

また、委託先の人員調達が、さらに派遣社員で補われているケースもある。A社がB社に業務委託し、B社はC社から派遣社員を受け入れているというやり方。ちなみに僕がオペレータとして働き始めた時もこのやり方で調達された形。

大手の委託会社としては「ベルシステム24」「トランスコスモス」「もしもしホットライン」「NTTソルコ」「KDDIエボルバ」「テレマーケティングジャパン」など。中小まで含めれば数十社存在する。

設備は自社で用意するがセンタ運営は業務委託

電話回線や情報システムは自社で用意するが、コールセンター運営を業務委託し、センタ管理者をはじめとした人員にその設備を使ってコールセンターを運営してもらうというケース。オンサイトと呼ぶことが多い。

委託元のコールセンター担当者が委託先のセンタ管理者と密に連絡を取りやすいのと、センタ設備が準備されていれば設備代がかからないのがメリットだが、その担当者がちょっと勘違いするとSV・オペレータへ直接業務指示を始めて「偽装請負」状態になりやすいのが難。委託元のITシステムを触らせるような形だと委託先のスタッフにそのセキュリティポリシーを徹底してもらわなければならなかったりなど、委託先センタ管理者が責任を持って行うこととはいえ、委託先の社内での行動をある程度チェックしなければならないのも面倒だったりする。

同じ電話番号なのに複数のセンターに別れているケースも。

ねんきんダイヤルの例でわかるけれども、一つの電話番号が、複数のセンターの中から空いているセンターにかかるようになっているケースも多々ある。

このときに各センターによって、自社運営のセンターだったり委託先のセンターだったり、また委託先が違ったりする。

「さっき対応した○○さんが」と言われても、対応履歴に表示される名前以外ではその人となりを同じ電話を受けているスタッフが知らないということもあたり前だったりする。

多くのコールセンターでは見える電話番号が一つでも、中の人たちの状況はかなり複雑。

*1:このシステム設計をアウトソーシングするケースも含む

*2:マネージャとかセンタ長と呼ばれる人